茶器の素材、形もお茶の味に大きく影響します。
茶肆ゆにわで販売している急須は、昔ながらの製法で土作りをしています。
約6ヶ月という時間をかけ、丁寧に丁寧に土を作ります。
原料の土を掘ります。
最近では粘土にガラス成分の長石(ちょうせき)と弁柄(べんがら)を混合した原料が主流になってきていますが、
雅風さんは昔ながらの本朱泥の製法にしたがい、土は山から掘ってきます。
山から掘ってきた土を天日で干して乾かした後、
ある程度の大きさになるまでトンカチで叩いて砕きます。
地味な作業ですが、量が多いので大変です。
砕いた土を龜に入れて、攪拌します。
朝と夕の二回、攪拌をして和紙と同じ目の細かいザルで上澄みの粘土を漉す作業を
2~3ヶ月以上の時間をかけて、毎日行います。
この作業をすることで、砂や不純物が取り除かれ、きめ細やかな手にぴたっと馴染む質感が生まれます。
攪拌→漉す作業が終われば、素焼きの龜に土を移します。
素焼きは焼けがあまいので、ゆっくりゆっくりと、水分が抜けていきます。
水分が抜けるまでに1ヶ月以上待ちます。
素焼きの龜である程度水分を抜いた土を
さらに水分を抜くため「ハス龜」という素焼きの龜に小分けして盛ります。
小分けしてから、さらに1ヶ月以上水分を抜いて、
ようやくロクロをひける硬さになります。
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私は土にこだわり急須作りをしています。
使っている土は知多半島でとれる赤土と田土です。
弁柄(べんがら)や長石(ちょうせき)などは入れず、ミルですって粒子を細かくしたものではなく、水簸(すいひ)で作った土を使用して急須を作ります。
これは、朱泥が発明された当初の明治時代からの急須のつくり方で、
出来上がった土は「本朱泥」と呼んでいます。
伊藤雅風